症状の4つの意味

もし病気になったら、それは本当に「病気」なのか、あるいは「症状」なのか、とことん考え抜いてみられることをお勧めします。 大概は症状ですが、ではその症状が出た原因は何か、ということを突き詰めて行くと、病気の治し方が自ずと見えてくると思います。以下は、『万病を治す冷えとり健康法』(新藤義晴著)からの抜粋です。 症状には4つの意味があるといいます。 大変示唆に富んでいると思います。


1.警告としての症状

症状は病気であるぞという警告の意味を持っています。ただこの警告は、胃が痛ければ胃が悪いという場合もありますが、そればかりでもなく、消化器が悪いと膝が痛いとか、股関節の具合が悪いとか、あるいは足に怪我をする、骨折するといった場合もあります。そのほかヘルニア(脱腸)になったり、これらは全て消化器が悪いという警告なので、注意しなければなりません。

2.肩代わりとしての症状

二番目には肩代わりとしての意味があります。五臓六腑に病変が起きると生命にかかわるので、そうなる手前で、ほかの手や足や目、鼻などに病気を肩代わりさせる。将棋でいえば、大駒をとられる代わりに歩をだしている状態、そういう機能が体にはあるのです。たとえば、鼻が悪いというのは、呼吸器と消化器が悪いのです。

3.排毒作用(自然治癒)としての症状

三番目には、症状が出るというのは排毒作用であるということ。内蔵(五臓六腑)に溜まっている毒を体外に放り出して「治ってゆこう」とする自然治癒力の働きのあらわれが症状なのです。例えば、鼻汁がでるのは、消化器と呼吸器の毒を出して、呼吸器・消化器を治そうということなのです。 鼻血なら肝臓と腎臓の毒を出している。毒を脳にまわして鼻からだしているということです。

ですから出るものは止めてはいけないのです。吹き出物も肺などの毒を出して五臓六腑をきれいにしようという現れなのです。

また、排毒とは逆に、毒が入ってくるのを防ぐ防毒作用という働きもあります。例えば口内炎ができると、口の中は消化器に含まれるので、これは胃潰瘍・消化器潰瘍ができる代わりにできるものです。これは肩代わりであると同時に、口内炎ができると食べられなくなる。これは消化器の具合が悪くて、仕事ができないから食べないでくれ、食べすぎの毒をこれ以上入れないでくれ、という信号でもあるのです。歯槽膿漏や歯痛も同じです。

これをむやみに薬で治めてしまうと、かえってよくない。またすぐ症状がでるし、無理に抑え込むと、大駒の内臓が直接やられてしまうこともある。そうではなくて、食べることを少しやめて新しい毒を入れないようにしてやれば、体内の毒は出て行ってしまうので、それで治るのですからあせらずに待つべきなのです。

4.鍛錬としての症状

四番目には、症状には鍛錬の意味があるということです。精神的にも、肉体的にも、ときどきはつらい目にあわないと心身共に弱くなってしまうので、鍛錬としての苦痛があるということです。だから、何でもすぐにきれいにして楽にしてやるというのはよくないのです。七転八倒というのは苦痛におされてかえって悪くなりますから、それをある程度治めてやるのはいいのですが、基本的には体の自然治癒力を発揮させるように努めて、医学的な治療はその手助けくらいにとどめておくべきなのです。

この点では、医者は昔から堕落していて、すっと楽にしてやるのが良いことだし、また、症状を消すことに力が入ってしまい、病気そのものを治すことがおろそかになってしまっています。

症状にはこれだけの意味があるのですから、怖がらないで、出るものは喜んで出して、それで苦痛に耐えて、自分の生活の誤りを反省するようにしていればいいのです。