見えない大陸

冷えとり5本指靴下の通販を始めてから4ヶ月を超えました。多くのお客様からご注文を頂き、大変うれしく思っております。
インターネット通販を始めて、自分の中に不思議な感覚が備わった気がします。当方とお客様とは、全く一面識もないし、商品を直に見て、触ったわけでもないお客様から注文を頂くことに、かつてない意識を覚えるのです。


人間の文明の発達は、人間の機能を拡大する道具を身につけることでもあります。足の延長として、自転車、自動車、列車、飛行機など。手の延長として、金槌、のこぎり、スパナ、工作機械など。目の延長として望遠鏡、カメラ、口の延長としてスピーカー、電話など。
そして、脳の延長としてコンピュータを開発しました。ただしコンピュータは脳の記憶、計算の部分の機能の延長であって、いわゆる右脳が司る感覚、芸術、直感、感情などは代替できませんが。
ここまではよくわかるのですが、インターネットはコンピュータよりも、もっと広範な人間の機能を拡大する道具になったのではないかと感じます。即ち、あるものを「選ぶ」とか「買う」とか「売る」とかの”脳の中で行われる判断・決断・行為”の延長です。「歩く」とか「作る」とかのvisibleな行為ではなく、いわゆるinvisibleな行為です。
そして、この脳の中で行われる「買う」という行為が、インターネットを通じて、まさに時空を超えて容易に実行できるようになったのです。これは、大変な変化であり、10年前には考えられなかったことです。
以前よりカタログ通販はありましたが、カタログ通販はカタログという「紙」がないと始まりません。一方、インターネット通販では、お客様がキーワードをコンピュータに入力するだけで、いわゆるカタログ(ショッピングサイト)が簡単にかつ瞬時に顧客の前に現れます。この「インターネットでカタログを取り出す容易さ」「インターネットで発注する容易さ」は本当に革命的です。インターネット通販を始める時のハードルの低さも驚異的です。インターネットサイトは極論すれば、htmlと画像の塊に過ぎません。
今まで、売り買いの行為はリアルの店(たぶん何百万円も何千万円もかけて建築された店舗)に行って、店員さんと話をしながら、商品を触りながら行われていましたが、今や買う人は、買う人が持っているコンピュータの画面に向かって買い、注文を受ける人は、注文を受ける人がもっているコンピュータの画面で注文を受けるわけです。
インターネットには物理的な距離の障害はありませんので、北は北海道から南は沖縄のお客様から注文をいただきます。時間の制限もありませんので、夜中でも注文できます。実際に夜遅く注文される方は多くいらっしゃいます。
東京から一歩も出ないで、かつ夜中でも注文を受けられるのです。これはまさに、見えない新たな経済圏です。「見えない大陸」という言葉は、コンサルタントの大前研一氏が述べていることですが、実際に自分でインターネット通販をおこなって、ようやくこの大陸の存在を実感するようになりました。
実際に自分でやってみないと分からないものですね。