いのちの日記

生命科学者の柳澤桂子氏は著書「生きて死ぬ智慧」と「いのちの日記」(小学館)の中で、科学者として、宗教というものを自らの何十年もの闘病生活という極限状態の中で科学的に見つめらています。


その結果として、現実の世界(リアリティー)は一元的なものであり、ものごとを自己と非自己という二元的な観点で見てはいけない。二元的に見ると本来の現実を喪失し、我執・我欲におぼれてしまう。本当の自分に気づくには非二元的な世界を感じられるようにならなればならない、と述べられています。
では一元的な現実(リアリティー)は何かというと、宇宙の全ては粒子でできていて、私がいるところは少し粒子の密度が高いだけである。すべてのものは粒子の濃淡に過ぎない、と科学的に看破されています。
そもそも人間の体は、約60兆個の細胞から構成されていますが、個々の細胞の寿命は最大で90日間です。腸の細胞は2−3日といいます。それだけのスピードで個々の細胞は死んで、また新しい細胞が生まれます。
細胞レベルでは死んだり生まれたりしている中で、人間が人間として一生涯続いているのは「システム」「秩序」だけです。システムという概念だけが生きているのです。ミクロレベルでいうと、私がいるところは宇宙の空間のなかで、すこし粒子の密度が高いにすぎず、かつその粒子は常に入れ替わっています。
これは言い換えると「新陳代謝」ですが、新陳代謝を活発にすることが、秩序ある生命体すなわち健康体の維持につながるのだと思います。